マリーアントワネットとパンとお菓子とケーキ

マリーアントワネットというと、有名な以下の言葉がありますね。

 エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン 「薔薇を持つマリー・アントワネット」 (1783)
「薔薇を持つマリー・アントワネット」 (1783)

「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」

あるいは、

「パンがないならケーキを食べればいいじゃない」

これらの言葉、そもそもどっちが正しいんだろう、と思って調べ始めたのがこの記事のきっかけです。

「お菓子なんだっけ?パンなんだっけ?なんかお菓子みたいなパンのことを本当は指していたとかいう説も聞いたことあるな。結局なんなんだっけ?」そう思って調べた内容であり、マリーアントワネット自体はメインの話題ではないです。

一応この有名な言葉について述べておくと、パンが食べられない民衆に対して、さらに贅沢なものであるお菓子を食べたらいいじゃないとのたまった世間知らずな発言であり、当時人々の反感を買ったといいます。今では愚かな言葉の代表のように語られるこの言葉、日常生活でもおふざけくらいしか使い道がないような気がしますが、皆さんどうしてだか記憶に残っている言葉です。

因みにこの言葉、実は元をたどるとマリーアントワネットの言葉ではないらしいです。もとはジャンジャックルソーの自伝に出てくる小話だとか、いろいろ言われているようですね。結局どこが出どころなのかはハッキリとはしていないようですが。

まぁ、誰の言葉なのかとかは別にいいんです。私はパンなのか菓子なのかケーキなのかをはっきりさせたいだけなので。

あと、どうでもいいんですけどジャンジャックルソーはなんとあの有名な「むすんでひらいて」という童謡の作曲者です。へぇ~。

元ネタはもちろんフランス語

マリーアントワネットもルソーもフランス人なので、元々の言葉はフランス語のようでした。

Qu’ils mangent de la brioche

私はフランス語がわからないのでさっぱりですが、フランス語でパンは le pain となります。上の言葉をぱっとみた感じ、そのような単語は見当たりません。ということはパンはここでは出てきていないみたいです。

そこまではわかったとしても、全体の意味は結局わからないのでこの迷言について述べている英語の文章を当たってみます。

上のサイトから引用すると、

It translates as, well, “Let them eat brioche.”

“Let them eat brioche”, つまり「briocheを食べさせなさい」という訳が正しいようですね。

ここでまた疑問が生まれました。 “Brioche” って、なに?

Brioche, ブリオッシュとは

Googleで brioche を調べてみましょう。画像検索結果を見たところパンのようです。デニッシュみたいなかんじでしょうか?おいしそうですね。結局パンじゃん。

Brioche でのGoogle画像検索結果

Briocheはそのままブリオッシュ、と日本語では言うそうです。フランス語だとなんか発音違うんでしょうけど。

さて、ブリオッシュについて書かれたサイトを見てみましょう。ブリオッシュとはいったいどんなパンでしょうか。

このサイトによると、「普通のパンよりふんだんに卵と牛乳が使われているある種のpastry(ペイストリー)」であるようです。さらに、「一般的にviennoiseries(ヴィエノワズリー)の一種としても知られている」んだそうです。うーん、よくわかりませんね。どうやら英語圏ではそれなりに通じる概念っぽいですが自分はわかりかねます。

まず pastry ってなに?

Pastry, ペイストリーとは

急に自分語りするんですが、私が一瞬だけオーストラリアにいた時、この単語を冠したお店を何店舗か見かけたことがあります。それらのお店は全部ケーキを売っているお店でした。なので自分の中では完全にケーキのイメージしかありません。実際どういう意味なんでしょう?

ペイストリー
pastryのイメージ図

ロングマン英英辞典によりますと、パイなどの焼いて作られる食べ物の外側に使われる、小麦粉・バター・牛乳か水などから作られるもの、だそうです。ずいぶん曖昧な定義ですが、要はパイ生地のことのようです。多分タルト生地もはいるのかな?

もう一つ定義が記載してあり、ペイストリーを使って作られた小さなケーキ、という意味もあるようです。要するにケーキかパイ生地、あるいはケーキ的なやつなわけですね。自分の認識は間違ってなかった!

つづいて、それじゃあさっきのヴィエノなんたらっていうのはなんでしょう?

Viennoiseries, ヴィエノワズリーとは?

もうこれに至っては聞いたことがありません。このサイトがヴィエノワズリーについて語っているようなので読んでみます。

クロワッサン
ヴィエノワズリーの代表こと
クロワッサン選手

どうやら、ヴィエノワズリーの超有名な例はクロワッサンのようです。これのおかげでフランスのペイストリーといえばヴィエノワズリー!というくらい世界的にヴィエノワズリーは知られているぜ、ということなんだそうですが、本当か?

このほかにもpain aux raisinsという菓子パン (リンク先を見て頂ければわかりますが、絶対パン屋さんで見たことあります)と、ブリオッシュがヴィエノワズリーに分類されるようですね。

ヴィエノワズリーという単語は、ウィーンから来た物、という意味だそうです。ということはこれらのpastryたちは元はフランスのものというよりも、ウィーン、つまりオーストリアのものだったという感じですね。

といっても歴史は長く、既にフランスの伝統的な食べ物というレベルで文化に組み込まれているようなのでその辺の起源の話はまぁ野暮というものでしょう。ヨーロッパ圏は文化の境目があるのかないのか、素人には難しいですね。

何の話だったかというと

結局元ネタはブリオッシュを食べればいいじゃない、という言葉でした。そしてブリオッシュというのはpastryに分類されるのでパンというよりはケーキに近そうなイメージがついてきました。

ただ、ブリオッシュが単純にケーキのようなものかというと、そういうわけでもないようです。実際にこちらのサイトではハンバーガーのバンズにも使われるという記述があり、一概にケーキとも甘いお菓子の材料だとも言えないようです。

同じヴィエノワズリー仲間のクロワッサンもジャムを付けて食べる人もいれば、ハムとチーズで食べる人もいるということで、クロワッサンに近いものなんじゃないかなぁと思います。そしてクロワッサンというとバターをふんだんに使っているのでちょっとお値段が張るイメージありますね。

ブリオッシュはどっちかというとパン

ということで、無理やりまとめるとブリオッシュはどっちかというとパンで、それも少し高級なものだと思います。ただ、時代背景的にもしかすると貴族はこれをつかった料理はケーキしか食べなかった、とかもなくはない話な気もするので、歴史的な考察も加えないとはっきりとは言い切れないですね。

少なくとも、パンがないからと言って代用品にできるようなものでないことは確かなようです。